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「賃貸管理編」の記事一覧(4件)

得だねッ情報1月
カテゴリ:賃貸管理編  / 投稿日付:2020/12/22 16:38

【得だねッ情報1月】
大家さんのための税金基礎講座「賃貸経営」と「確定申告」
                                                 

    
    

はじめまして、公認会計士・税理士の井上と申します。今回より不動産オーナーの皆様に向けて主に税金について連載をさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願い申し上げます。

    

井上公認会計士・税理士事務所 井上雅陽

    

      

皆様はどのようなきっかけで賃貸経営を始められたのでしょうか?小職が税理士として不動産賃貸経営をされているオーナー様と接してきた経験として、①不動産を相続して賃貸経営を行っている、②相続税対策を主たる目的として賃貸経営を始めた、③株や債券等の有価証券投資と同様に純粋な余剰資金の運用目的として賃貸経営を始めた、④給与所得との通算による節税目的で賃貸経営を始めた、というようなパターンが挙げられるのかなという印象です。割合としては、①と②が比較的多い印象がありますがいかがでしょうか。始められたきっかけによって、賃貸経営に対する目標やスタンスは異なり、また経営戦略や手法も異なるものだと考えます。

賃貸経営においても税金は他のビジネスと同様に必須コストであり、納税により資金繰りに影響を及ぼす重要事項です。従って、可能な節税策の検討や、直近又は将来的に生じる税務コストを適時に把握することは、オーナー様の賃貸経営の長期的な安定及び発展にとても大切な事だと思います。そのために、①自身で最低限の税金の知識を得ておく事、及び②税理士等の税務専門家と十分なコミュニケーションを図る事が必要でしょう。言い換えれば、オーナー様は企業の経営者(社長)であり、顧問税理士は企業の経理・財務部門です。経営者は税理士に対して必要な時に税金や経営数値に対しての情報と意見を気軽に、かつ即座に求め得る関係にあります。

             

   
   

2020年度の確定申告は!?

   
   

                                                   
さて、今年も3月15日の確定申告期限が迫ってきました。2020年分の確定申告について、昨年度からの改正点のうち重要なものとしては、基礎控除額の変更(10万円増額)、青色申告特別控除制度の変更(従来の65万円控除のためには電子申告が必要等)、配偶者控除に係る所得要件等の緩和などがあります。また、新型コロナウィルスの影響により持続化給付金を受領した場合は収益計上が必要になる点もご留意ください。

「確定申告」は法人であれ個人事業であれ、1年間の経営成績と財政状態を取りまとめる決算作業と、それに応じて税額を算出し、申告・納税する一連のプロセスです。従って、不動産オーナー様が自らの賃貸経営の状況を把握する上でとても重要な事項であるはずです。昨年やその前の年と比べて売上や利益はどうなっているのか、又は、新型コロナウィルスの影響を大きく受けている状況下において、次年度やその先の見通しはどのようになりそうか、このような分析や判断をする上で良い機会を提供するものです。

ここで、お客様からよくいただく疑問として、「会計処理・集計はどのような頻度で行うことが良いか」という事項があります。個人的にはこの答えとして、行っているビジネスの複雑性と売上等の規模(金額の多寡)、ビジネスの安定性を踏まえて考えるべきであると思います。ビジネスが複雑で、かつ売上等の金額が大きく、またビジネスが不安定(急激な売上の変動等)な状況においては、毎月(いわゆる月次での決算)又は四半期(3か月)ごとに会計データを取りまとめ、それを経営の意思決定に利用した方が良いでしょう。他方で、ビジネスがシンプル、かつ安定的に推移しており、売上等の規模も比較的少額であれば、年1回の集計(決算と確定申告)で十分だと考えられます。不動産経営に当てはめて考えてみると、賃貸物件が数件で今後も急激な事業拡大をせず安定的に推移するのであれば、年1回の集計頻度でも大丈夫でしょう。他方、多くの賃貸物件を所有している場合や、事業の積極的拡大を行おうと考えている場合(物件の取得売却の頻度の機会がそれなりにある場合)は、月次(1か月)又は四半期(3か月)ごとに集計した方が良いでしょう。

個人事業で賃貸経営をされているオーナー様は、1月から3月にかけて決算及び確定申告の時期を迎えます。経営状況の把握と今後の経営を見渡す良いタイミングかと思いますので、パートナーである税理士とざっくばらんに意見交換をしてみてください。

【賃貸業界のニュースから】
【新春対談】2021年の業界展望を語り合う
                                                            

    
    

新型コロナウィルスの世界的な感染拡大に明け暮れた2020年が終わりました。2021年はどんな1年になるのでしょうか。週刊誌やビジネス誌に執筆するライターのA記者と不動産業界向け新聞のB記者、不動産ネットメディアの編集を手がけるC記者の3名で2021年の賃貸住宅業界を語ってもらいました。業界通ならではのリアルな展望が語られました。

    

 

             

   

4月入学の新入生動向に注目

      


A 2020年は東京五輪・パラリンピックの延期、8月の安倍晋三前総理の退陣から9月の菅義偉新総理誕生まで、ニュースには事欠きませんでしたが、賃貸住宅業界にとってはコロナの影響が大きかった1年でした。

B 大学や専門学校がリモート授業を取り入れた影響で下宿先を引き払ってしまう学生が増えました。今も学生街は閑散としていますが、本当に恐いのは2021年4月の新入生が一人暮らしをするのかどうかです。文科省は対面授業を推奨していますが、学校側は乗り気でないところが多いようです。4年生が退去した後に、新1年生が入ってこないというような影響が心配されます。

C 集団感染があった大学へのバッシングは凄かった。学校側が及び腰になるのもよくわかります。体育大学まで実技をしないでレポート提出で単位を出すらしいですし、学校は可能な限りオンラインを進めていくことになるでしょうね。学生寮の密を避けて、民間賃貸住宅を借上げる学校などもあって、新しい需要も生まれているようですがそれもまだ一部だけです。今から対策をとっておきたいですね。

A でも一人暮らしをしたい学生はいるでしょう。管理会社が入居している学生向けの食堂を作ったりした例もあるよね。

C いかに親が安心する仕組みをつくるかが学生獲得のポイントになると思います。管理会社は知恵を絞っていますが、2021年は熾烈な入居者獲得競争になりそうですね。

             

  

賃貸経営に役立つテクノロジーに注目

   

     
C コロナの影響では「非接触での賃貸仲介」に注目しています。民間会社の調査だと不動産会社の85%くらいは在宅勤務をやっていないそうです。一方でzoomなどのリモートワーク用のツールは70%以上の企業が導入しています。少し様子見だった会社が2021年から本格的に非対面での接客などを取り入れだすのではと、私は予想しています。

B 脱ハンコの動きも加速しています。政府を挙げて電子契約を推進していますからね。法改正も含めて進んでいくようなら、賃貸住宅の現場でも一気に普及するかもしれません。

一方で、地面師みたいな「なりすまし」もでてくるでしょう。新しい技術で、いつ、誰が、どうやって手続きしたかを明らかにできる仕組みを作っていかないといけません。

A 賃貸借契約は時間も手間もかかるから、そのコストが軽減されるのに反対する人はいないでしょう。でも、貸したマンションが特殊詐欺の拠点や、偽造クレジットカードの受け取りに使われていたなんてことが、現実にあるから怖い。テクノロジーの力をどこまで信用していいのかは気になる。

B テクノロジーで言えば、私は入居者管理アプリに注目しています。入居者への注意事項を一斉に通知したり家賃の未入金だけに遅れを通知できたりするなど、賃貸管理のこまごまとした作業を自動化できます。一回、導入すると便利すぎて止められないみたいですね。

C 管理ツールでは、入居者とコミュニケーションがとれるチャット機能がとてもいいです。実は長期入居してもらうには管理会社や大家さんとのコミュニケーションがとても重要というデータがあります。例えば、鍵の回転が悪いとか、わざわざ電話するまでもない小さい不満ってありますよね。そういった小さい不満が積もり積もって、あるタイミングで退去につながっていくようです。ある管理会社によると入居者の約20%の退去はこういった小さな不満が理由だったとか。この不満をガ ス抜きする意味でチャット機能は有効ですね。

             

     

オーナーも儲かる宅配ボックスに注目

      

A 聞く耳を持つことが重要なわけだね。入居者とコミュニケーションをとると、いろいろと要求されてやぶ蛇になるというのはもう古い考えなのかもしれない。

     
入居者の獲得という意味では人気設備も変わっているようだね。ここ数年はネット通販の普及で宅配ボックスのニーズがとても高くなっている。だけど、場所がなくて設置できないというオーナーも多いようです。

C Yper(イーパー・東京)という会社では、居室ごとに使える袋型の置き配ツールを開発しました。鍵付きの袋をドアノブに引っかけて使うので、工事の必要がない手軽さが評価されています。万が一の盗難に備えて保険にも入れるし、配送状況をスマホアプリで管理できます。入居者に購入してもらうことで大家さんにお金が落ちる仕組みもあります。管理会社やオーナーからの問い合わせも急増しているようですね。

B 設備の導入で役立ちそうなのが、スマサテ(東京)という会社が開発したAI家賃査定です。物件周辺の相場を知ることができるサービスで、所有する物件のデータを入力すれば、周辺物件と比較した推定家賃を教えてくれます。「この設備があるので1000円をプラス」といったことが分かる家賃査定の根拠も表示されるので、それを基にして次の設備導入を考えてみてもいいでしょうね。管理会社向けに賃貸経営の改善案を作るために利用されていますが、無料で使えるプランもあるので大家さんも使えます。月間1万件以上の査定件数があるようで精度も高いですからね。

A 時代の風を感じるな。そういう意味ではリース(東京)という会社がやっている「smeta」(スメタ)というサービスはフリーランスとかUber EATS配達員のようなこれまで与信が低かった人向けの家賃債務保証なんだ。「smeta」で与信審査をして、「家賃いくらまでなら保証できる」ということを事前に照会してくれるから、この情報をもとに不動産で部屋探しができる。仲介や管理会社にとっても審査落ちが防げるから、こういう動きはいいと思う。

B 孤独死についても見守りなどでIoT機器やスマートカメラの活用が期待されています。賃貸業界の課題解決に役立つテクノロジーにはアンテナを張っておきたいですね。

                

      

賃貸管理はますます重要になっていく

   

 

B 賃貸管理業務の適正化のために作られた賃貸住宅管理業法が2020年12月15日に施行されました。所管する国交省への登録制度の加入会社には「業務管理者」の設置が義務づけられます。将来的には賃貸不動産経営管理士が登録要件の1つになると言われています。賃貸不動産経営管理士は、今は民間資格ですが、将来的には国家資格化が確実視されていて、管理会社の社員だけでなく大家さんの中にも勉強する人が増えたみたいですね。2021年は賃貸管理のプロフェッショナル化に拍車がかかると思います。

A そういう影響もあったのかな。2020年の賃貸経営管理士試験はかなり難しくなっていたと受験者から聞いた。でも、賃貸管理の大切さがクローズアップされるようになってきたことは良いことだと思う。社員向けにも賃貸経営管理士の資格保有者には特別手当を払う会社も増えていると聞いたよ。

C 法改正や制度変更で新しいサービスも増えています。2020年4月の民法改正で、それまで曖昧だった原状回復費用の負担を明確化しました。大家さんの負担が増す可能性がでてきたことで、原状回復費用の保証サービスが増えています。大家さんは毎月数千円の定額費用を支払うことで原状回復が発生しても、その費用を保証してもらえるわけです。こういうサービスを提供する会社は2021年も増えると思います。

B コロナの影響で賃貸住宅経営はとても大変な状況と言われていますが、実は他の業種に比べれば、まだ影響は少ないほうです。外食や旅行、航空関連はもはや壊滅的な状況ですからね。不動産投資のコンサルタントによると2020年の夏頃から他業種の経営者から「賃貸住宅経営を始めたい」という問い合わせが増えたそうです。

   
A 不況になるほど賃貸住宅ビジネスの底堅さは生きる。2021年は明るい話題が増えて欲しい

 

 

得だねッ情報12月号
カテゴリ:賃貸管理編  / 投稿日付:2020/11/19 17:17

【得だねツ情報12月号】


『賃貸業界のニュースから』
「アパートの外廊下の崩落事故~貸主のリスクを考える~
賃貸住宅のオーナーにとっては他人事ではないかもしれません。北海道苫小牧市の賃貸アパートで外廊下の床が崩落し、家族5人が転落し病院に搬送される事故がありました。NHKなどによると事故が起きたのは今年10月17日の夕方で、2階建てアパートの2階部分が現場となりました。搬送された5人の命に別状がなかったのは不幸中の幸いでした。

報道では事故が起きた外廊下は金属製で老朽化が進んでいたことから、今年8月にオーナーに修繕するよう連絡していたと物件の管理会社が証言しています。オーナーは今後、怪我をした入居者への補償問題がでてくると考えられます。このように建物の不備によって入居者が怪我をした場合には、その建物の所有者が損害賠償責任を負います。今回の事例では入居者の使用方法に問題があったとは考えにくい上に、管理会社は廊下の改修を促していたと報道されており、事実ならば貸主の責任は免れないのではないでしょうか。

建物倒壊で1億5千万円の支払い判決

賃貸経営でおきるのは、このような老朽化による事故だけではありません。大規模災害時にも賃貸住宅オーナーの責任が追及された事例があります。1995年に発生した阪神大震災で、地震によって倒壊した賃貸住宅のオーナーが、亡くなった入居者の遺族らから責任を問われました。神戸市東灘区にあった「東神マンション」は、1階部分が完全に押しつぶされて倒壊し、一人暮らしの学生など4名が犠牲となりました。また、亡くなった学生の遺族らとともに、倒壊による生き埋めで大きな怪我を負った入居者も法廷でオーナーの責任を追及しました。神戸地裁の判決では、建物が当然持っているべき安全性を欠いており、「賃借人らの死傷は、地震という不可抗力によるものとはいえず、当該建物自体の設置の瑕疵と想定外の揺れの本件地震とが、競合してその原因となった」(判決文)と判断しました。裁判所は慰謝料のほかに、死亡による逸失利益、葬儀費用の合計金額の半分にあたる1億5千万円の支払いを、オーナーと建築業者に命じました。

巨大災害では、多くのことが「想定外」として責任が曖昧になりがちです。その中で、

貸主の責任を問いたこの判決は当時の不動産業界紙などでも大きく取り上げられたためご記憶の方も多いかもしれません。判決では、建物が老朽化しているだけでなく、建築状態が悪く設計・施工ともにいい加減な状態であったと認定しています。また、周辺で倒壊した建物はこのマンションだけだったことや、高い建築知識を持つ遺族が震災後すぐに現地で写真撮影や周辺への聞き込み調査などを実行しており、豊富な証拠が残されていたことがこの判決につながったと言われています。

意外と多い 滑る、転ぶ、落ちる 事故

集合住宅に関わる事故は多く発生しています。なかでも多いのは「滑る、転ぶ、落ちる」といった事故です。人口動態統計(厚生労働省)によるとマンションを含む建物内やその周辺で、滑る、転ぶ、落ちることが原因で亡くなった方は年間3614人(2017年)にも及びます。住宅火災による死者が889人(総務省 同年)といいますから、比べれば日常的な事故がいかに多いかわかります。共有廊下が水浸しで滑った、階段の滑り止めが壊れていて躓いた、子どもが手すりをくぐって落下したなど、例を挙げればキリがありません。


全な建物を提供するのは貸主の義務ですが、あまりに多い事故に対処するために「施設賠償保険」をすすめる声があります。施設賠償保険は建物等の施設の管理の不備や、構造上の欠陥が原因で怪我や死亡事故が起きた際に、貸主が負う法的責任によって生じる損害を補償する保険です。火災保険のなかには施設賠償特約が付帯できるものもあるようです。ひとたび事故が起きれば、補償はとても高額になることもあります。こうした保険も含めて対策を考えていきたいところです。


今年の3月4月の時点では新型コロナの影響で来春の繁忙期が心配されました。幸いにも客足に壊滅的な影響はなく、その数も戻りつつあるように思えます。すでにこの紙面でお伝えした通り、コロナ禍のお客様には変化が見られます。ひとつは、「リモートワークに適してるか」「ネット環境が安定してるか」「勤務先の距離が最優先ではない」などの条件面の変化です。もうひとつは、「ネットで徹底的に物件を絞る」という探し方の変化です。


しかし、そうは言っても物件を見ないで決めるお客様はかなりの少数派です。ネットの表現力が豊かになっても写真や動画では確認しきれませんし、オンライン内見では決めきれないポイントがあるからです。そこで今回は、内見時にお客様が気に掛ける「ネットでは分からないポイント」について考えます。



お客様が最初に目にするのは外観とエントランスです。これが物件の第一印象になります。エントランスが暗いとか郵便ゴミが散乱しているのはイメージダウンです。さらに駐輪場が雑然としている状態や、ゴミ置き場に残置物があるのも敬遠されます。このような共有部のイメージをお客様はかなり気にします。定期的な清掃が必要な所以(ゆえん)です。つぎにお部屋に入ると収納や設備をチェックしますが、これらはネットで得た情報の再確認に過ぎません。実はネットでは分からない気になるポイントとして「匂い」と「明るさ」があります。空室の期間も排水・下水の匂いが室内に上らないように、定期的な空気の入れ換えが必要です。「明るさ」については、陽当たりの良い物件ばかりでなく昼間でも暗い部屋もあります。これは少し明るめの照明器具を設置しておくことでカバーできます。以上は貸主側が意識しておくことで成約率を高めることができるポイントです。

つぎは貸主側では直接的には関与できないポイントです。しかしマイナス点を少しでも引き上げる策がない訳ではありません。1つめは、実際に現地に行くまでの駅からの「道のり」です。お客様はネットで所要時間は知っていますが、さらに知りたいのは物件までの道程です。たとえば商店の並び、人通り、道幅、街灯、景色などです。女性の一人暮らしや家族に女性のいる世帯なら、狭くて暗く人通りの少ない道のりは不安に感じるでしょう。これは外部要因ですから貸主側で変えることは出来ませんが違うルートを勧めることはできます。もし住人で知っている安全なルートがあるなら、たとえ数分の遠回りであっても提案しておくことで、マイナス点をカバーできます。2つめに気にするのは「隣人」です。お客様は表札や傘などを見るしか判断材料はありませんが、内見中にチラッと隣の部屋の入居状況を確認したりします。貸主側としては隣人の詳細情報を明かすことはできませんが、安心材料があるなら積極的に伝えてもよいと思います。3つめとして、さりげなく気にするのが「携帯電波」です。電波の弱い貸室は4G電波を改善してくれる「携帯ブースター」のような機器が売られています。

貸主側では改善は出来ないがお客様は気にしているというポイントがあります。まずは「窓からの眺め」。内見中に窓を開けてみたら、目の前のマンションや一戸建ての住人の姿が見える、という条件もあるでしょう。さらに窓を開けた際に聞こえてくる車の音が気になる場合もあるでしょう。お客様の中には居室内の壁の厚さを気にする方もいて、叩いて壁の厚さを確認したりします。水道やシャワーの水圧などもチェックします。これらで減点になるなら、それが弱点ということになるかもしれませんが、そもそも弱点のない物件はありません。大事なのは、弱点を埋めても余りある長所をアピールすることです。


新型コロナによってお客様はネットで物件を絞り込むようになりましたが、たとえ選ばれたとしても「現地確認」が待っています。その際のお客様の「気になるポイント」を知った上で、なるべく良い評価が得られるように準備したいと思います。

:私のアパートで一人暮らしの60代男性が亡くなりました。いわゆる孤独死です。5日後に家族が発見してすぐに解約となったのですが、不動産会社から「次の借主が気にするので家賃も下げなければならない」と言われました。皆さんはどう思いますか?

:貸室を事故物件として扱う、ということですかね?「孤独死=事故物件」という考え方ですよね。これが一般的な判断なのでしょうか。

:あるいは心理的瑕疵物件とも言ったりしますね。「入居者が嫌悪するような事実が過去におこった物件」という意味のようです。

:つまり次の借主に告知するということですね。

:でも孤独死のあった貸室はすべて事故物件や心理的瑕疵物件になるのですか?

:納得いかないですよね。「入居者が嫌悪する」というのは、たとえば自殺なら理解できます。自殺は相続する遺族や連帯保証人に賠償責任を認めた判例がありますから事故物件といえると思います。次に住む人の嫌悪感も理解できるので心理的瑕疵物件ともいえると思います。殺人事件でも同じですよね。でも孤独死を事故と考えるのは納得できませんね。

:法律的な定義はどうなっているのですか?

:明確な定義はないようです。

:確かに、前の入居者が一人で亡くなった部屋を嫌う人は多いでしょうね。

:でも事故物件の判定は大家に深刻な影響を与えるのに定義が曖昧すぎますね。Aさんが告知しないで賃借するとどうなりますか?

:借主が入居後に事実を知ったときに「知ってたら借りなかった」とクレームを言ってくる。最悪は「損害賠償しろ」と裁判になる。


:面倒ですね。ハッキリした指針はないの?

:今年の春に「全宅連」という不動産業者の団体が「住宅確保要配慮者等の居住支援に関する調査研究報告書」を発表しました。そこで孤独死と事故物件の考え方を整理しています。

その内容を要約すると

:うん、だいぶ明確になりましたね。

:「告知の必要ない」というのは力強いですね。

:②はなぜ告知が必要とされたのでしょう?

:借主が入居後に近隣から孤独死の事実を知る可能性が高いからです。その可能性も心理的瑕疵の判定のひとつになるみたいです。

:確かに、借主が知る由もなければ心理的瑕疵もない訳ですね。

:この報告書では、「住宅内で人が亡くなるのはあり得るし、病気や老衰による死を責めることはできないから当然に孤独死は事故ではない」としています。

:明確で理屈が通ってる。

:法的な根拠がある訳ではないのですよね?

:そうですね。しかし後日、借主側と意見の相違がおきたときに貸主側の見解の背景として強力な拠り所にはなると思います。万一訴訟となったときの裁判所の判断にも影響を与える可能性もありますよね。

:ではAさんは告知しないで通常の家賃で募集しますか?5日で親族が発見しているし近隣でも話題になっていないでしょうから。

:そうですね。この事実を不動産会社と相談して最後は自分で決断します。皆さんの考えと教えていただいた調査研究報告書の内容はたいへんに参考になりました。

得だねッ情報11月
カテゴリ:賃貸管理編  / 投稿日付:2020/10/17 16:55

【得だねッ情報】11月

「大家さんのための賃貸仲介最前線レポート」

 ★多様な働き方が増えた現在の入居審査の考え方                                           

新型コロナの影響による、借主の賃貸住居移動が起こっているようです。都心から広さを求めて地方に移る人や、リモートワークに適した物件に転居する人、収入が減ったので賃料の低いお部屋に移動する方たちなどです。その際に受け入れ側の大家さんと不動産会社には、入居審査という重要な意思決定業務があります。入居審査でチェックするのは、借主の勤め先や勤続年数や年収などです。ちなみに現在では多くの不動産会社が入居審査を保証会社に任せているケースが多くなっています。その保証会社の審査は上記と同じ項目に加えて、業界のデータベース(過去の家賃支払い履歴等)を閲覧するところもあります。

   
入居審査では勤務先が重要となりますが、最近では20代30代の働き方が変化してきました。今までは一つの企業に永く勤めることが推奨されて、転職を繰り返すことは「良し」とされていませんでした。しかし近年は「フリーランス」という働き方をよく耳にするようになりました。フリーランスとは、会社や団体などに所属しないで、自分の得意分野の仕事を受注してる人々のことです。この名前の由来が面白く、中世ヨーロッパでは、有力者の契約によって仕えた騎士をフリーランス(ランスは当時の武器である槍)と呼んだことからきているそうです。当時の有力者に売り込んでいたのは「槍の使い手としての個人能力」だったのですね。インターネットが社会に浸透することで、ライターやデザイナーやプログラマーという、個人能力を生かせる仕事が増えたことと、大企業でも副業を許可する流れが、フリーランスを増やす下地にあるのかもしれません。内閣府は昨年7月の時点でフリーランス人口を341万人と推計しています。これは専業フリーランスの数ですが、副業も加えると1,119万人(日本の労働人口の17%)にもなるようです(ランサーズ株式会社調べ、2018年度)。入居希望者の5人に1人がフリーランスに関わっている、ということになるようです。

今後も日本の社会は多様な働き方が増えていくことになるでしょう。新型コロナの影響でテレワークが当たり前になり、自宅や共有オフィスなどで仕事をこなすのが一般的になると予想されますが、その際に引っ越すときにネックとなるのは「入居審査」です。実は彼らの収入には個々に差がありますので、その実態を把握することが入居審査の肝になります。フリーランスに近いカテゴリーは「個人事業主」ですが、この個人事業主の入居審査は賃貸の現場で昔から行われていました。会社勤務であれ個人事業主であれ、正しく収入を申告すれば税金を納めているはずなので、それが証明になります。さらに得意分野で収入を得ているのであれば、その成果物として記事や写真やデザインを、インターネットで確認することができます。難しいのは「始めたばかりで実績の乏しい人」「収入を正しく申告していない人」などですが、これは本人面接と、前述の成果物と、連帯保証人(保証会社でよし)で判断することになります。

「いい人に住んでもらいたい」と考える大家さんとしては、それなりに年収があるのに勤務先がないばかりに入居審査で落としてしまう、というのは残念です。最近の保証会社の中にも、フリーランス向けに独自の基準で審査することで、これまで杓子定規に判断していた審査を見直す会社も出てきています。

たとえば保証会社を使わない大家さんの場合、彼らが収入や納税証明を提出できない事情のとき、本人の印象や前述の成果物などから、どのように支払い意思と能力を見極めるか、が重要になってきます。

「疑わしきは入居拒否する」のも一つの選択ですが、一方で空室を長引かせることもできませんので、その方針を不動産会社と協議しておくことも重要です。このような時代変容をしっかりと注視していくことは、不動産運用にとって大事なことの一つとなります。

「リフォーム&リノベを考える」

★早く決まり・長く住んでもらえるための2つのポイント                                           

     
賃貸経営されているAさんの空室を「費用対効果の高いリフォームによって決める」というテーマで考えたいと思います。築24年の鉄骨造で間取は2DK、面積は43㎡で2部屋が空いています。一口にリフォームと言っても、間取り変更や水廻り交換を含むリノベーションや、壁一面にカラークロスを貼ったりオシャレな床材を使用して築古のイメージを一新するデザインリフォームや、大家さん自ら物件の価値を高めるDIYなど、工事の種類は様々です。「家賃は下げたくないけどリフォーム費用も抑えたい」。これが大家さんの共通の願いですので、今回は費用対効果の高いお部屋づくりについてお話させていただきます。

まず空室対策で真っ先に検討すべきは「どういう属性をターゲットにする事で早く入居が決まるのか」という点です。これはエリア、立地、間取り、床面積によって異なるので市場調査がとても大切です。今回の物件は2DKなので、カップルか、もしくは小さなお子様が1人くらいのファミリー層をターゲットに建てられたはずです。しかし現在では、その層は50㎡を超える2LDKを求めていますから40㎡前後の2DKは選んでもらえません。そこでターゲットを単身者にして、2DKを1LDKに変更するという案が容易に浮かぶでしょう。しかし単身向けとして一般的なのは25㎡くらいの間取りなので、設定家賃がどうしても高額になります。そこまでの家賃が支払える単身者ニーズがこのエリアにあるか、という点と、同じような物件がライバルとしてどのくらい存在するかを検討する必要があります。この市場調査がとても重要になります。

2DKを1LDKに変更するという方針が決まったとして、つぎのポイントは「どの様な人に入居してもらいたいのか」をイメージすることです。ここでは、「広めの間取りに少し高めの家賃を払える人なら誰でもいい」と、ターゲットを広く設定したいところなのですが、そうすると選べる壁紙や床材が一般的で特徴のないモノになってしまいます。今は「広めの単身物件」がエリアに多くなくても、すぐに同じ間取りが増えるかもしれません。せっかく費用をかけるなら、ライバル物件との差別化をはかり、物件に強みを持たせたいと思います。そこで写真のように2つのお部屋を異なるテイストで、壁紙、床材、照明器具などを選んでみました。

左の写真は男性を、右の部屋は女性を意識してデザインしました。人によっては左の方がカッコよくて好き!という方もいれば、右の方が明るくて好き!という方もいると思います。実際、左のお部屋には40代の男性が、右のお部屋は20代の女性が気に入って入居されました。ご自分が気に入った部屋を見つけてくれたとすれば、きっと永く住んでもらえるのではと思います。

もうひとつ採用したアイディアとして「アクセントクロス」がありました。今さら目新しいモノではありませんが、コロナ渦によって自宅でオンラインミーティングの需要が増加しているので、背景に映る壁紙に「白基調や単色だけでは面白くない」というニーズが密かに増えているのです。壁紙の上から簡単に貼れるDIYクロスなどの売上も伸びていると聞きます。これなどは費用対効果の高い施策と言えると思います。

空室対策としてリフォームを検討するときは、「誰をターゲットに募集すれば早く永くお部屋を稼働できるか」「どの様な人に選んでもらいたいか」という2点で入居者ターゲットを明確にして、デザインで差別化することが重要なポイントです。

「賃貸業界のニュースから」

★在宅勤務で喫煙クレーム増加 ~禁煙ルールの効果~

                              

リモートワークで借主が自宅にいる時間が増えたことで、近隣トラブルも増加しているようです。SNSを見ると「下の階のタバコの臭いでテンションが下がる」などの、タバコ関連の悩みを吐露する投稿が目につきました。

厚労省2018年調査によると日本の喫煙率は17.8%(男性29%、女性8.1%)です。かつては50%以上を超えていましたが今では少数派となっており、分煙傾向の高まりからタバコを嫌う人も増えています。今年4月には改正健康増進法が施行され、利用者の多い鉄道や飲食店など屋内では原則禁煙となりました。しかし賃貸住宅などの「個人が居住の用に供する場所」は適用されていません。その一方で、法律は喫煙者へ配慮義務を掲げています。

             

   
   

【喫煙の際の配慮義務】(第27条第1項関係)

   

何人も、特定施設及び旅客運送事業自動車等の喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。

   
   

 つまり、

・できるだけ人がいない場所で喫煙すること

・子どもや健康不安のある人、特に配慮が必要な人が集まる場所では喫煙を控えること

となっています。

この配慮義務を踏まえれば、集合住宅のベランダは喫煙を避けるべき場所にあたるとも考えられます。ベランダは共有部分とする考え方が一般的ですので、管理規約で喫煙を禁止することができます。実際に区分所有のファミリー向けマンションではベランダを禁煙とする事例は増えているようです。たとえ居室内であっても、換気扇の排気口位置によっては他の部屋にタバコの副流煙が向かうこともあるようです。      
             

   
   

喫煙禁止の意外な効果とは

   
   

   
東北地方でファミリー向け賃貸住宅を所有するAさんは、喫煙者の退去した部屋がヤニで黄色く汚れている点に頭を悩ませていました。もちろん退去後に壁紙は貼り替えますが、インターフォンや火災警報器、コンセントカバーなどが黄色く変色してしまうのが残念でなりません。リフォーム会社にも相談しましたが、プラスティック部分に着いたヤニ汚れは落ちないと説明されました。そして「禁煙ルールにしてる賃貸住宅がある」と教えられ、自身でもやってみることにしたそうです。

具体的には契約書に建物内での喫煙を禁止する事項を記載して了解の上で入居してもらうようにしました。もし禁止事項を破った場合は、先にあげたインターフォンや火災報知器などの取り替えにかかった実費はもとより、ヤニで変色した壁や天井のクロス貼り替え費用を請求できるようにしました。賃貸仲介会社からは「そんな条件にしたら募集しても入居者がこない」などと言われたそうですが、内見数には大きな差は無く、化学物質のアレルギー体質である男性からは「禁煙の賃貸住宅を探していた」と喜ばれたそうです。

結局、禁煙を導入してから5年間以上経過していますが、これまでに入居率には変化はないそうです。それよりも目に見えるメリットとして、喫煙者の部屋と比べると気になっていたインターフォンや火災警報器、コンセントカバーは新品時と変わらない状態に見えるそうです。想定外に好影響だったのがユニットバスや換気扇や床などの、契約書に記載した箇所以外もキレイに使ってくれるようになったことです。「禁煙マンション」ということで、キレイ好きな入居者が多くなるのか、それとも神経質な大家さんと思われているのか。理由はどうあれ、原状回復の手間とコストが減り、リフォーム会社のスタッフからも驚かれたようです。

これはファミリー向け賃貸住宅のひとつの事例に過ぎません。最近では煙の出ない加熱式タバコなどを愛用する人も増えていますので、喫煙者の権利にも配慮しつつ、加熱式は許可するなどの弾力的な対策も選択肢の一つとなってきました。喫煙マナーは時代によって変化していますので、賃貸住宅のルールも時代に合わせて考えても良いかもしれません。

得だねッ情報10月号
カテゴリ:賃貸管理編  / 投稿日付:2020/09/20 14:00

得だねッ情報 10月号
1)賃貸業界ニュースから
  映画「事故物件」で考える心理的瑕疵物件の対応
     
映画「事故物件 恐い間取り」が8月末に公開されました。売れないお笑い芸人の山野ヤマメが、馴染みのテレビプロデューサーからの無理な要求に応え、殺人現場となった賃貸マンションに住むところから物語は始まります。ヤマメがマンションの室内を撮影してみると、偶然にも不思議な映像が撮れてしまい、それがテレビ放映され大反響を呼びます。自殺や殺人、変死事故がおきた物件、つまり事故物件に住む芸人として有名になったヤマメは周囲の心配もどこ吹く風で、次々と事故物件を渡り歩くようになるのですが…と、いうのが映画のあらすじです。主演はアイドルグループKAT-TUNのメンバーである亀梨和也さんで、公開週の興行ランキングで1位になる人気です。また、この映画には同名の原作(二見書房)があり、著者は「事故物件住みます芸人」と呼ばれる松原タニシさんです。続編も作られた原作本は2冊あわせて累計15万部と、こちらも人気となっています。世はまさに事故物件ブームと言えそうです。

『事故物件を世に広めた「大島てる」』  
事故物件とは正式名称を心理的瑕疵物件といい、主に自殺や殺人、孤独死など嫌悪するような背景を持った不動産のことを指します。国会図書館のデータベースで「事故物件」を検索してみると、事故物件を取り上げた書籍や雑誌は僅かに76件しか表示がなく、そのほとんどは2010年以降のものです。ここ10年で事故物件という言葉が急速に知られるようになったわけですが、これには2005年開設の事故物件公示サイト「大島てる」が大きく影響したのは間違いありません。「大島てる」は自殺や殺人があった物件を地図上に表示しているサイトで4万件以上の事故物件情報が公開されています。1日100万件以上の閲覧があるほど、一般の利用者にも定着しています。

このサイトは、利用者からの投稿によって成り立っており、間違った情報が投稿されていることもあります。もし、間違った情報があれば、サイト運営者に削除要請が可能です。賃貸オーナーとしては所有する物件が間違って事故物件とされていないか確認しておくのも良いかもしれません。削除要請がなされると、該当する投稿は一旦、非公開となります。運営者によって事故物件であると確認できなければ、投稿は削除されます。ただし、事故が実際におきたことがわかれば、投稿は再び公開され、残念ながら削除はされません。
『事故を7段階に分ける』

事故物件の知名度が高まる一方で、事故物件の法律的な立ち位置はグレーなままです。その上で、何を嫌悪するかは、人によって大きく違います。そのため、間違った対処方法が不動産業界でも横行しています。実は映画のなかでも「事故が起きた後に一度でも誰かが住めば、その次の入居者には事故を告知する必要がない」という台詞がありますが、実はこれには法的根拠は全くありません。また、事故物件とひとくくりに言っても、すぐに発見された孤独死と、自殺・殺人とでは受け取る側の印象は大きく異なります。それにも関わらず、「事故物件は家賃半額」といった決めつけで必要以上の値引きをしてしまうケースも見受けられるのです。

こうした状態を解消するために「成仏不動産」(運営NIKKEI MARKS)というサイトでは、物件を起きた事故の内容によって細かく分けたうえで、事故物件の売買や賃貸の円滑処理を促しています。区分けは、最も軽い「お墓や火葬場、葬儀場が見える」から最も重い「殺人」まで、7つの段階に分かれています。(※もちろん お墓や火葬場が見えても事故物件に該当しません)価格の下落幅が大きい「殺人」の物件だけを探して、購入したがる不動産投資家もいるようで、正しい情報を公開することで事故物件の活かし方が増えるということもあるようです。どんなに防ごうとしても、一定の確率で事故は起きてしまいます。もし起きてしまったら、正しい知識をもって対処したいものです。
★まとめ
①「大島てる」を確認して、所有物件に間違った情報が掲載sれていれば、削除依頼をしよう。
②もしも所有物件で、事故が起きたら、正しい情報公開で出口が見つかることもある事を知っておこう。
2)管理スタッフからの現場報告
  飲食店舗の夜逃げ~スケルトンか居ぬきで貸すか

店舗で夜逃げ発生、次の募集は?

今回は店舗物件で起こった事件の顛末をお話しします。数年前のことですが、管理物件の2階で飲食店を営んでいた借主が3ヶ月の家賃滞納の末に夜逃げしてしまいました。この場合は原状回復をして貰うことはできませんので、今後の募集はどうすれば良いのか?という問題が出てきます。選択肢としては、「スケルトン状態に戻すか」「居ぬき物件として募集するか」の2つになります。ここで言葉の意味を説明しておきましょう。              

   

<スケルトン状態とは>

   

室内に建物躯体以外には何も無い状態を指します。給排水管や照明等の電気設備や空調設備が無い状態です。細かく定義すると、照明器具は撤去されているが天井のボードが残っているのはスケルトン状態ではありません。

   

<居抜き物件とは>

   

貸室内に建物躯体以外に設備や造作が残っている状態を指します。設備とは、空調・照明・給排水などで、飲食店ならば厨房機器等が設備の具体例です。造作とは、床材や壁材・天井ボードなどで、飲食店ならば作り付けのカウンターや店内装飾、事務所ならば会議室や受付等の区割りは全て造作です。これらのいずれかが残っていれば居抜き物件となります。

   

                                               
さらに居抜き物件の場合は、造作売買付きで有償で貸すか、現状渡しで無償で貸すか、の選択があります。有償とは室内の造作・設備を新しい借主に売り渡します。これは賃貸借契約とは別の造作譲渡契約を交わします。今回のケースで考えると、大家さんは売り渡しで得た金銭で家賃未回収分を補填できるメリットがありますが、造作・設備の権利が新しい借主に移転しますので、賃貸借契約でその権利について取り決めておかないとトラブルの元になります。具体的には「貸主はアフター保証等の義務は行わない」「退去時はスケルトン状態に戻すこと」などの特約です。

もうひとつの無償とは、造作・設備が付いた状態で賃貸借します。新しい借主にとっては、「出店コストを削減できる」「開店までの期間を短縮できる」などのメリットがありますから早く決まる可能性があります。

無償の居抜きで募集、その理由は?

今回は大家さんと検討した結果、「現状渡しで無償」という条件で募集することにしました。大家さんにとっても借主候補の裾野が広がりますし、借主の初期費用が抑えられるので早く契約になる確率が高くなります。また、常に勢いのあるテナントが入居してもらえれば街の活性化にも繋がっていくものと思います。「有償」という選択肢もありましたが、大家さんとしては一時金を手にするよりも、早くいい借主さんを見つけて永く商売してもらいたい、という想いが強かったようです。

さて募集の結果ですが、数ヶ月後に新しい借主さんが決まり、契約して数週間後には、以前と同じ業態の飲食店としてオープンされました。今回の契約にあたって特に気をつけたポイントは以下の通りです。             

   

1.設備・造作をリスト化して数量や状態や動作確認やメンテナンス状況を借主と確認した。

   

2.居抜きで引き渡しをするが退去時は借主の費用でスケルトン状態にして明け渡すことにした。

    

 「2」について「居抜きで貸した方が良いのでは?」という意見もありましたが、造作・設備の劣化の進行具合は使用頻度や店舗の環境によって異なるため、数年後の資産価値については予測が立ちにくいのです。そのため明け渡し時はスケルトン状態に戻してもらう事を明確にしておくことが賢明と判断しました。

今回は夜逃げという想定外の事件によって「居抜き貸し」を選びましたが、この方法は「スケルトン貸し」と比べて懸念すべき点が複数あることを十分に知っておく必要があります。想定外は「いつ起こるか」は分かりませんので、その状況に合わせて慌てずに、知識と経験を総動員して解決することが、大家さんの役に立てる賃貸管理だと考えています。

3)大家さんのための賃貸仲介最前線レポート
  「不要不急」のお客様をどう取り込むか?

大家様の空室を早く埋める賃貸仲介の最前線では、よく問い合わせしてきたお客様の分類をします。たとえば、入居したい時期が未定のお客様は「C」。入居時期が3ヶ月以降先のお客様は「B」。そして、直近から3ヶ月以内で検討しているお客様を「A」という具合です。このように賃貸仲介の現場が特に注目しているのが「入居希望時期」なのです。

                                                 
入居時期がより明確で、早く入居したい事情のお客様ほど成約してくれる率が高いのです。一般的な割合としては「A」のお客様が20%、「B」のお客様が25%、「C」のお客様が55%程度ではないでしょうか(もちろん地域や、繁忙期か閑散期かによって変化します)。

しかし新型コロナの感染が拡大するにつれ、この分類結果に変化が表れ始めました。具体的には「急いで引っ越しを検討しているお客様」(A)が極端に減っているという傾向が見られています。これはおそらく、転勤や入学などの社会的移動が、コロナによって減少していることが関係していると思われます。

   
つまり「急いで引っ越さなければいけない状況」というものが、社会全体で総体的に減っているということです。

成約となる確率の高いお客様が減っているのは仲介会社としても厳しい状況ですが、一方で興味深いのは、問い合わせ数はそこまで減少していないことです。つまり上記の例でいうと、「A」のお客様は激減していますが、「C」のお客様は減っていない、もしくは増加傾向にあるのです。これは「急いでないが住み替えはしたい」というお客様が一定数は存在していることを表しています。大家様や管理会社としては、このような「住み替え」を検討しているお客様を取り込んでいく必要がありますが、そのためにどのような対策が必要でしょうか?

まず、「特に急いでないが住み替えの欲求はある」というお客様はインターネットでの物件検索を頻繁に行いますが物件に対して妥協はしません。お客様自身の要望や条件を明確にして、長い時間をかけてポータルサイトなどで物件を見比べます。設備項目や物件の具体的な環境など、希望条件と照らし合わせながら、ひとつひとつを細かく見ていきます。

こうしたお客様の引越し理由として、「リモートワークできるスペースが確保できれば」「早くて確実なインターネット環境が整っていれば」という項目が挙がるのが特徴のひとつです。またもうひとつの特徴として、お客様自身がインターネットで選んだ物件で、そのまま成約になるケースが多いことです。

つまりお客様は時間をかけて選ぶけれど、選んだ末に問い合わせた物件で、そのまま成約するケースが多くなっているということです。

このような傾向を踏まえたうえで、こうしたお客様をしっかり確保するためには、まずインターネットの物件情報を抜け漏れなく記載し、そして他の物件とは違ったアピールポイントを打ち出していくことが重要になります。当然のことながら、募集中の物件設備のチェック項目に抜け漏れはないかどうかの確認は必須になります。そして、自由に書けるコメント欄の充実です。物件ページに記載できない情報、周辺環境やリモートワークのしやすさや、インターネット環境、間取りの特徴などを記載します。そして写真の充実です。とにかく全部屋と多くの設備をきちんと掲載することが重要になります。

引っ越しが不要不急ではないお客様をいかに取り込んでいくのか。それには「現地を見てもらえれば分かる」ではなく、インターネットなどの「リモートで選ばれる」という戦略を徹底させることが、コロナ禍での空室対策の基本となるようです。

 





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