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得だねッ情報10月号
カテゴリ:賃貸管理編  / 投稿日付:2020/09/20 14:00

得だねッ情報 10月号
1)賃貸業界ニュースから
  映画「事故物件」で考える心理的瑕疵物件の対応
     
映画「事故物件 恐い間取り」が8月末に公開されました。売れないお笑い芸人の山野ヤマメが、馴染みのテレビプロデューサーからの無理な要求に応え、殺人現場となった賃貸マンションに住むところから物語は始まります。ヤマメがマンションの室内を撮影してみると、偶然にも不思議な映像が撮れてしまい、それがテレビ放映され大反響を呼びます。自殺や殺人、変死事故がおきた物件、つまり事故物件に住む芸人として有名になったヤマメは周囲の心配もどこ吹く風で、次々と事故物件を渡り歩くようになるのですが…と、いうのが映画のあらすじです。主演はアイドルグループKAT-TUNのメンバーである亀梨和也さんで、公開週の興行ランキングで1位になる人気です。また、この映画には同名の原作(二見書房)があり、著者は「事故物件住みます芸人」と呼ばれる松原タニシさんです。続編も作られた原作本は2冊あわせて累計15万部と、こちらも人気となっています。世はまさに事故物件ブームと言えそうです。

『事故物件を世に広めた「大島てる」』  
事故物件とは正式名称を心理的瑕疵物件といい、主に自殺や殺人、孤独死など嫌悪するような背景を持った不動産のことを指します。国会図書館のデータベースで「事故物件」を検索してみると、事故物件を取り上げた書籍や雑誌は僅かに76件しか表示がなく、そのほとんどは2010年以降のものです。ここ10年で事故物件という言葉が急速に知られるようになったわけですが、これには2005年開設の事故物件公示サイト「大島てる」が大きく影響したのは間違いありません。「大島てる」は自殺や殺人があった物件を地図上に表示しているサイトで4万件以上の事故物件情報が公開されています。1日100万件以上の閲覧があるほど、一般の利用者にも定着しています。

このサイトは、利用者からの投稿によって成り立っており、間違った情報が投稿されていることもあります。もし、間違った情報があれば、サイト運営者に削除要請が可能です。賃貸オーナーとしては所有する物件が間違って事故物件とされていないか確認しておくのも良いかもしれません。削除要請がなされると、該当する投稿は一旦、非公開となります。運営者によって事故物件であると確認できなければ、投稿は削除されます。ただし、事故が実際におきたことがわかれば、投稿は再び公開され、残念ながら削除はされません。
『事故を7段階に分ける』

事故物件の知名度が高まる一方で、事故物件の法律的な立ち位置はグレーなままです。その上で、何を嫌悪するかは、人によって大きく違います。そのため、間違った対処方法が不動産業界でも横行しています。実は映画のなかでも「事故が起きた後に一度でも誰かが住めば、その次の入居者には事故を告知する必要がない」という台詞がありますが、実はこれには法的根拠は全くありません。また、事故物件とひとくくりに言っても、すぐに発見された孤独死と、自殺・殺人とでは受け取る側の印象は大きく異なります。それにも関わらず、「事故物件は家賃半額」といった決めつけで必要以上の値引きをしてしまうケースも見受けられるのです。

こうした状態を解消するために「成仏不動産」(運営NIKKEI MARKS)というサイトでは、物件を起きた事故の内容によって細かく分けたうえで、事故物件の売買や賃貸の円滑処理を促しています。区分けは、最も軽い「お墓や火葬場、葬儀場が見える」から最も重い「殺人」まで、7つの段階に分かれています。(※もちろん お墓や火葬場が見えても事故物件に該当しません)価格の下落幅が大きい「殺人」の物件だけを探して、購入したがる不動産投資家もいるようで、正しい情報を公開することで事故物件の活かし方が増えるということもあるようです。どんなに防ごうとしても、一定の確率で事故は起きてしまいます。もし起きてしまったら、正しい知識をもって対処したいものです。
★まとめ
①「大島てる」を確認して、所有物件に間違った情報が掲載sれていれば、削除依頼をしよう。
②もしも所有物件で、事故が起きたら、正しい情報公開で出口が見つかることもある事を知っておこう。
2)管理スタッフからの現場報告
  飲食店舗の夜逃げ~スケルトンか居ぬきで貸すか

店舗で夜逃げ発生、次の募集は?

今回は店舗物件で起こった事件の顛末をお話しします。数年前のことですが、管理物件の2階で飲食店を営んでいた借主が3ヶ月の家賃滞納の末に夜逃げしてしまいました。この場合は原状回復をして貰うことはできませんので、今後の募集はどうすれば良いのか?という問題が出てきます。選択肢としては、「スケルトン状態に戻すか」「居ぬき物件として募集するか」の2つになります。ここで言葉の意味を説明しておきましょう。              

   

<スケルトン状態とは>

   

室内に建物躯体以外には何も無い状態を指します。給排水管や照明等の電気設備や空調設備が無い状態です。細かく定義すると、照明器具は撤去されているが天井のボードが残っているのはスケルトン状態ではありません。

   

<居抜き物件とは>

   

貸室内に建物躯体以外に設備や造作が残っている状態を指します。設備とは、空調・照明・給排水などで、飲食店ならば厨房機器等が設備の具体例です。造作とは、床材や壁材・天井ボードなどで、飲食店ならば作り付けのカウンターや店内装飾、事務所ならば会議室や受付等の区割りは全て造作です。これらのいずれかが残っていれば居抜き物件となります。

   

                                               
さらに居抜き物件の場合は、造作売買付きで有償で貸すか、現状渡しで無償で貸すか、の選択があります。有償とは室内の造作・設備を新しい借主に売り渡します。これは賃貸借契約とは別の造作譲渡契約を交わします。今回のケースで考えると、大家さんは売り渡しで得た金銭で家賃未回収分を補填できるメリットがありますが、造作・設備の権利が新しい借主に移転しますので、賃貸借契約でその権利について取り決めておかないとトラブルの元になります。具体的には「貸主はアフター保証等の義務は行わない」「退去時はスケルトン状態に戻すこと」などの特約です。

もうひとつの無償とは、造作・設備が付いた状態で賃貸借します。新しい借主にとっては、「出店コストを削減できる」「開店までの期間を短縮できる」などのメリットがありますから早く決まる可能性があります。

無償の居抜きで募集、その理由は?

今回は大家さんと検討した結果、「現状渡しで無償」という条件で募集することにしました。大家さんにとっても借主候補の裾野が広がりますし、借主の初期費用が抑えられるので早く契約になる確率が高くなります。また、常に勢いのあるテナントが入居してもらえれば街の活性化にも繋がっていくものと思います。「有償」という選択肢もありましたが、大家さんとしては一時金を手にするよりも、早くいい借主さんを見つけて永く商売してもらいたい、という想いが強かったようです。

さて募集の結果ですが、数ヶ月後に新しい借主さんが決まり、契約して数週間後には、以前と同じ業態の飲食店としてオープンされました。今回の契約にあたって特に気をつけたポイントは以下の通りです。             

   

1.設備・造作をリスト化して数量や状態や動作確認やメンテナンス状況を借主と確認した。

   

2.居抜きで引き渡しをするが退去時は借主の費用でスケルトン状態にして明け渡すことにした。

    

 「2」について「居抜きで貸した方が良いのでは?」という意見もありましたが、造作・設備の劣化の進行具合は使用頻度や店舗の環境によって異なるため、数年後の資産価値については予測が立ちにくいのです。そのため明け渡し時はスケルトン状態に戻してもらう事を明確にしておくことが賢明と判断しました。

今回は夜逃げという想定外の事件によって「居抜き貸し」を選びましたが、この方法は「スケルトン貸し」と比べて懸念すべき点が複数あることを十分に知っておく必要があります。想定外は「いつ起こるか」は分かりませんので、その状況に合わせて慌てずに、知識と経験を総動員して解決することが、大家さんの役に立てる賃貸管理だと考えています。

3)大家さんのための賃貸仲介最前線レポート
  「不要不急」のお客様をどう取り込むか?

大家様の空室を早く埋める賃貸仲介の最前線では、よく問い合わせしてきたお客様の分類をします。たとえば、入居したい時期が未定のお客様は「C」。入居時期が3ヶ月以降先のお客様は「B」。そして、直近から3ヶ月以内で検討しているお客様を「A」という具合です。このように賃貸仲介の現場が特に注目しているのが「入居希望時期」なのです。

                                                 
入居時期がより明確で、早く入居したい事情のお客様ほど成約してくれる率が高いのです。一般的な割合としては「A」のお客様が20%、「B」のお客様が25%、「C」のお客様が55%程度ではないでしょうか(もちろん地域や、繁忙期か閑散期かによって変化します)。

しかし新型コロナの感染が拡大するにつれ、この分類結果に変化が表れ始めました。具体的には「急いで引っ越しを検討しているお客様」(A)が極端に減っているという傾向が見られています。これはおそらく、転勤や入学などの社会的移動が、コロナによって減少していることが関係していると思われます。

   
つまり「急いで引っ越さなければいけない状況」というものが、社会全体で総体的に減っているということです。

成約となる確率の高いお客様が減っているのは仲介会社としても厳しい状況ですが、一方で興味深いのは、問い合わせ数はそこまで減少していないことです。つまり上記の例でいうと、「A」のお客様は激減していますが、「C」のお客様は減っていない、もしくは増加傾向にあるのです。これは「急いでないが住み替えはしたい」というお客様が一定数は存在していることを表しています。大家様や管理会社としては、このような「住み替え」を検討しているお客様を取り込んでいく必要がありますが、そのためにどのような対策が必要でしょうか?

まず、「特に急いでないが住み替えの欲求はある」というお客様はインターネットでの物件検索を頻繁に行いますが物件に対して妥協はしません。お客様自身の要望や条件を明確にして、長い時間をかけてポータルサイトなどで物件を見比べます。設備項目や物件の具体的な環境など、希望条件と照らし合わせながら、ひとつひとつを細かく見ていきます。

こうしたお客様の引越し理由として、「リモートワークできるスペースが確保できれば」「早くて確実なインターネット環境が整っていれば」という項目が挙がるのが特徴のひとつです。またもうひとつの特徴として、お客様自身がインターネットで選んだ物件で、そのまま成約になるケースが多いことです。

つまりお客様は時間をかけて選ぶけれど、選んだ末に問い合わせた物件で、そのまま成約するケースが多くなっているということです。

このような傾向を踏まえたうえで、こうしたお客様をしっかり確保するためには、まずインターネットの物件情報を抜け漏れなく記載し、そして他の物件とは違ったアピールポイントを打ち出していくことが重要になります。当然のことながら、募集中の物件設備のチェック項目に抜け漏れはないかどうかの確認は必須になります。そして、自由に書けるコメント欄の充実です。物件ページに記載できない情報、周辺環境やリモートワークのしやすさや、インターネット環境、間取りの特徴などを記載します。そして写真の充実です。とにかく全部屋と多くの設備をきちんと掲載することが重要になります。

引っ越しが不要不急ではないお客様をいかに取り込んでいくのか。それには「現地を見てもらえれば分かる」ではなく、インターネットなどの「リモートで選ばれる」という戦略を徹底させることが、コロナ禍での空室対策の基本となるようです。

 





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