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得だねッ情報11月
カテゴリ:賃貸管理編  / 投稿日付:2020/10/17 16:55

【得だねッ情報】11月

「大家さんのための賃貸仲介最前線レポート」

 ★多様な働き方が増えた現在の入居審査の考え方                                           

新型コロナの影響による、借主の賃貸住居移動が起こっているようです。都心から広さを求めて地方に移る人や、リモートワークに適した物件に転居する人、収入が減ったので賃料の低いお部屋に移動する方たちなどです。その際に受け入れ側の大家さんと不動産会社には、入居審査という重要な意思決定業務があります。入居審査でチェックするのは、借主の勤め先や勤続年数や年収などです。ちなみに現在では多くの不動産会社が入居審査を保証会社に任せているケースが多くなっています。その保証会社の審査は上記と同じ項目に加えて、業界のデータベース(過去の家賃支払い履歴等)を閲覧するところもあります。

   
入居審査では勤務先が重要となりますが、最近では20代30代の働き方が変化してきました。今までは一つの企業に永く勤めることが推奨されて、転職を繰り返すことは「良し」とされていませんでした。しかし近年は「フリーランス」という働き方をよく耳にするようになりました。フリーランスとは、会社や団体などに所属しないで、自分の得意分野の仕事を受注してる人々のことです。この名前の由来が面白く、中世ヨーロッパでは、有力者の契約によって仕えた騎士をフリーランス(ランスは当時の武器である槍)と呼んだことからきているそうです。当時の有力者に売り込んでいたのは「槍の使い手としての個人能力」だったのですね。インターネットが社会に浸透することで、ライターやデザイナーやプログラマーという、個人能力を生かせる仕事が増えたことと、大企業でも副業を許可する流れが、フリーランスを増やす下地にあるのかもしれません。内閣府は昨年7月の時点でフリーランス人口を341万人と推計しています。これは専業フリーランスの数ですが、副業も加えると1,119万人(日本の労働人口の17%)にもなるようです(ランサーズ株式会社調べ、2018年度)。入居希望者の5人に1人がフリーランスに関わっている、ということになるようです。

今後も日本の社会は多様な働き方が増えていくことになるでしょう。新型コロナの影響でテレワークが当たり前になり、自宅や共有オフィスなどで仕事をこなすのが一般的になると予想されますが、その際に引っ越すときにネックとなるのは「入居審査」です。実は彼らの収入には個々に差がありますので、その実態を把握することが入居審査の肝になります。フリーランスに近いカテゴリーは「個人事業主」ですが、この個人事業主の入居審査は賃貸の現場で昔から行われていました。会社勤務であれ個人事業主であれ、正しく収入を申告すれば税金を納めているはずなので、それが証明になります。さらに得意分野で収入を得ているのであれば、その成果物として記事や写真やデザインを、インターネットで確認することができます。難しいのは「始めたばかりで実績の乏しい人」「収入を正しく申告していない人」などですが、これは本人面接と、前述の成果物と、連帯保証人(保証会社でよし)で判断することになります。

「いい人に住んでもらいたい」と考える大家さんとしては、それなりに年収があるのに勤務先がないばかりに入居審査で落としてしまう、というのは残念です。最近の保証会社の中にも、フリーランス向けに独自の基準で審査することで、これまで杓子定規に判断していた審査を見直す会社も出てきています。

たとえば保証会社を使わない大家さんの場合、彼らが収入や納税証明を提出できない事情のとき、本人の印象や前述の成果物などから、どのように支払い意思と能力を見極めるか、が重要になってきます。

「疑わしきは入居拒否する」のも一つの選択ですが、一方で空室を長引かせることもできませんので、その方針を不動産会社と協議しておくことも重要です。このような時代変容をしっかりと注視していくことは、不動産運用にとって大事なことの一つとなります。

「リフォーム&リノベを考える」

★早く決まり・長く住んでもらえるための2つのポイント                                           

     
賃貸経営されているAさんの空室を「費用対効果の高いリフォームによって決める」というテーマで考えたいと思います。築24年の鉄骨造で間取は2DK、面積は43㎡で2部屋が空いています。一口にリフォームと言っても、間取り変更や水廻り交換を含むリノベーションや、壁一面にカラークロスを貼ったりオシャレな床材を使用して築古のイメージを一新するデザインリフォームや、大家さん自ら物件の価値を高めるDIYなど、工事の種類は様々です。「家賃は下げたくないけどリフォーム費用も抑えたい」。これが大家さんの共通の願いですので、今回は費用対効果の高いお部屋づくりについてお話させていただきます。

まず空室対策で真っ先に検討すべきは「どういう属性をターゲットにする事で早く入居が決まるのか」という点です。これはエリア、立地、間取り、床面積によって異なるので市場調査がとても大切です。今回の物件は2DKなので、カップルか、もしくは小さなお子様が1人くらいのファミリー層をターゲットに建てられたはずです。しかし現在では、その層は50㎡を超える2LDKを求めていますから40㎡前後の2DKは選んでもらえません。そこでターゲットを単身者にして、2DKを1LDKに変更するという案が容易に浮かぶでしょう。しかし単身向けとして一般的なのは25㎡くらいの間取りなので、設定家賃がどうしても高額になります。そこまでの家賃が支払える単身者ニーズがこのエリアにあるか、という点と、同じような物件がライバルとしてどのくらい存在するかを検討する必要があります。この市場調査がとても重要になります。

2DKを1LDKに変更するという方針が決まったとして、つぎのポイントは「どの様な人に入居してもらいたいのか」をイメージすることです。ここでは、「広めの間取りに少し高めの家賃を払える人なら誰でもいい」と、ターゲットを広く設定したいところなのですが、そうすると選べる壁紙や床材が一般的で特徴のないモノになってしまいます。今は「広めの単身物件」がエリアに多くなくても、すぐに同じ間取りが増えるかもしれません。せっかく費用をかけるなら、ライバル物件との差別化をはかり、物件に強みを持たせたいと思います。そこで写真のように2つのお部屋を異なるテイストで、壁紙、床材、照明器具などを選んでみました。

左の写真は男性を、右の部屋は女性を意識してデザインしました。人によっては左の方がカッコよくて好き!という方もいれば、右の方が明るくて好き!という方もいると思います。実際、左のお部屋には40代の男性が、右のお部屋は20代の女性が気に入って入居されました。ご自分が気に入った部屋を見つけてくれたとすれば、きっと永く住んでもらえるのではと思います。

もうひとつ採用したアイディアとして「アクセントクロス」がありました。今さら目新しいモノではありませんが、コロナ渦によって自宅でオンラインミーティングの需要が増加しているので、背景に映る壁紙に「白基調や単色だけでは面白くない」というニーズが密かに増えているのです。壁紙の上から簡単に貼れるDIYクロスなどの売上も伸びていると聞きます。これなどは費用対効果の高い施策と言えると思います。

空室対策としてリフォームを検討するときは、「誰をターゲットに募集すれば早く永くお部屋を稼働できるか」「どの様な人に選んでもらいたいか」という2点で入居者ターゲットを明確にして、デザインで差別化することが重要なポイントです。

「賃貸業界のニュースから」

★在宅勤務で喫煙クレーム増加 ~禁煙ルールの効果~

                              

リモートワークで借主が自宅にいる時間が増えたことで、近隣トラブルも増加しているようです。SNSを見ると「下の階のタバコの臭いでテンションが下がる」などの、タバコ関連の悩みを吐露する投稿が目につきました。

厚労省2018年調査によると日本の喫煙率は17.8%(男性29%、女性8.1%)です。かつては50%以上を超えていましたが今では少数派となっており、分煙傾向の高まりからタバコを嫌う人も増えています。今年4月には改正健康増進法が施行され、利用者の多い鉄道や飲食店など屋内では原則禁煙となりました。しかし賃貸住宅などの「個人が居住の用に供する場所」は適用されていません。その一方で、法律は喫煙者へ配慮義務を掲げています。

             

   
   

【喫煙の際の配慮義務】(第27条第1項関係)

   

何人も、特定施設及び旅客運送事業自動車等の喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。

   
   

 つまり、

・できるだけ人がいない場所で喫煙すること

・子どもや健康不安のある人、特に配慮が必要な人が集まる場所では喫煙を控えること

となっています。

この配慮義務を踏まえれば、集合住宅のベランダは喫煙を避けるべき場所にあたるとも考えられます。ベランダは共有部分とする考え方が一般的ですので、管理規約で喫煙を禁止することができます。実際に区分所有のファミリー向けマンションではベランダを禁煙とする事例は増えているようです。たとえ居室内であっても、換気扇の排気口位置によっては他の部屋にタバコの副流煙が向かうこともあるようです。      
             

   
   

喫煙禁止の意外な効果とは

   
   

   
東北地方でファミリー向け賃貸住宅を所有するAさんは、喫煙者の退去した部屋がヤニで黄色く汚れている点に頭を悩ませていました。もちろん退去後に壁紙は貼り替えますが、インターフォンや火災警報器、コンセントカバーなどが黄色く変色してしまうのが残念でなりません。リフォーム会社にも相談しましたが、プラスティック部分に着いたヤニ汚れは落ちないと説明されました。そして「禁煙ルールにしてる賃貸住宅がある」と教えられ、自身でもやってみることにしたそうです。

具体的には契約書に建物内での喫煙を禁止する事項を記載して了解の上で入居してもらうようにしました。もし禁止事項を破った場合は、先にあげたインターフォンや火災報知器などの取り替えにかかった実費はもとより、ヤニで変色した壁や天井のクロス貼り替え費用を請求できるようにしました。賃貸仲介会社からは「そんな条件にしたら募集しても入居者がこない」などと言われたそうですが、内見数には大きな差は無く、化学物質のアレルギー体質である男性からは「禁煙の賃貸住宅を探していた」と喜ばれたそうです。

結局、禁煙を導入してから5年間以上経過していますが、これまでに入居率には変化はないそうです。それよりも目に見えるメリットとして、喫煙者の部屋と比べると気になっていたインターフォンや火災警報器、コンセントカバーは新品時と変わらない状態に見えるそうです。想定外に好影響だったのがユニットバスや換気扇や床などの、契約書に記載した箇所以外もキレイに使ってくれるようになったことです。「禁煙マンション」ということで、キレイ好きな入居者が多くなるのか、それとも神経質な大家さんと思われているのか。理由はどうあれ、原状回復の手間とコストが減り、リフォーム会社のスタッフからも驚かれたようです。

これはファミリー向け賃貸住宅のひとつの事例に過ぎません。最近では煙の出ない加熱式タバコなどを愛用する人も増えていますので、喫煙者の権利にも配慮しつつ、加熱式は許可するなどの弾力的な対策も選択肢の一つとなってきました。喫煙マナーは時代によって変化していますので、賃貸住宅のルールも時代に合わせて考えても良いかもしれません。

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